保存療法
手術をしないで、治療や症状改善、緩和を目指す治療方法で、次の2つの方法で悪化を防いだり、少しでも良い状態を目指すようにします。医療機関で診てもらうと手術になってしまうのではないかという不安がある方も多いようですが、医療機関の医師でしか行えない巻き爪の矯正方法もあります。この場合、巻き爪の矯正は医療行為ではなく、予防的ケアということになり、健康保険は適用されません。
1. 巻き爪と皮膚の間にクッション代わりとなるものを入れたり、隙間を開けて爪の端が皮膚に食い込まないようにする
- コットンパック法(医療機関・セルフケア)
皮膚に食い込んでいる爪と皮膚の間に、小さく丸めたコットンをはさんで隙間を作り、痛みを和らげるようにします。
- ガター法(医療機関)
皮膚に食い込んでいる爪と皮膚の間に、細いビニールチューブを挟んで痛みを和らげるようにします。
- テーピング法(医療機関・セルフケア)
食い込んでいる爪の端ぎりぎりの皮膚のところからテープを貼って、下側に皮膚を引っ張って止めることで、爪の食い込みを緩和して痛みを和らげるようにします。
2. 巻き爪の形を矯正して皮膚に食い込まないようにする
2-1 ワイヤー(ワイヤー+フック)法
- マチワイヤ(医療機関)
直線状の形状記憶合金のマチワイヤー(ニッケル、チタンの合金)を使った巻き爪の矯正方法です。巻き爪先端の白い部分の2ヶ所に穴を開けて、超弾性ワイヤーを巻き爪の湾曲に合わせて通します。 ワイヤーが元の真っ直ぐな形状に戻ろうとする力を利用して巻き爪の湾曲を矯正します。定期的に新しいワイヤーに入れ替えることで矯正します。
- VHO式(医療機関)
バネ構造かつ両端をU字フックにしたワイヤー(外科用ステンレス鋼)を1本づつ左右の爪端にかけて、中央部でそれぞれのフックを別のワイヤーで巻きあげて中央に寄せ、爪を持ち上げて湾曲を矯正します。定期的に新しいワイヤーに入れ替えることで矯正します。
- そがわ式(医療機関)
弾性ワイヤー(外科用ステンレス鋼)の片端を爪の形状に合わせてフックを作成し、爪の幅に合わせて長さを調整して、爪本体に光硬化性レジン樹脂で固定して湾曲を矯正します。基本は爪の両側から2本装着しますが、片側巻き爪の場合は1本でも装着できます。定期的に新しいワイヤーに入れ替えることで矯正します。
- 巻き爪マイスター(医療機関)
超弾性ワイヤーとコイルバネ、フックで構成。超弾性ワイヤーが元の真っ直ぐな形状に戻ろうとする力を利用して巻き爪の湾曲を矯正します。バネを使用することで装着が容易な仕組みになっており、比較的短時間での装着が可能です。
2-2 プレート法
- B/Sスパンゲ(巻き爪治療院・接骨院・ネイルサロン)
グラスファイバー入りの特殊なプラスチック板を爪の湾曲に合わせて表面に接着して、プラスチック板が真っ直ぐに戻ろうとする力を利用して巻き爪を矯正します。定期的に新しいプラスチック板に入れ替えることで矯正します。
- ペディグラス(巻き爪治療院・接骨院・ネイルサロン)
弾性レジン樹脂プレートを爪端の表面に接着して、装具を対側の爪端にたおす力で巻き爪を矯正します。定期的に新しいプレートに入れ替えることで矯正します。
2-3 クリップ法
- 巻き爪用クリップ(セルフケア)
形状記憶合金が元に戻る力を利用して、巻き爪を矯正します。
- 巻き爪ブロック(セルフケア)
伸ばしたバネが元に戻る力を利用して、巻き爪を矯正します。
- ネイルエイド(セルフケア)
形状記憶合金が元に戻る力を利用して、巻き爪を矯正します。
- 巻き爪 ワイヤーガード(セルフケア)
形状記憶合金ワイヤーが元に戻る力を利用して、巻き爪を矯正します。
- まきづめリフト(セルフケア)
形状記憶合金が元に戻る力を利用して、巻き爪を矯正します。
- 巻き爪クリスタルケア(セルフケア)
金属の弾性を利用するのではなく、クリップで巻き爪を平らに固定して矯正する唯一の矯正具です。軽度から中度の巻き爪に特化しており、装着が簡単で短時間でケアできるのが特徴です。
手術療法
保存療法で巻き爪が治らない場合は手術療法となる場合が多いようです。手術などで直接、痛みの原因となる巻き爪の一部を切り取ってしまう外科的な治療になります。
巻き爪の一部を切り取って皮膚に食い込まないようにする
- 部分抜爪法(医療機関)
炎症の強い場合に、皮膚に食い込んでいる爪端部分を幅5mmほど切除する方法です。爪をつくっている部位の爪母は残しておきます。切除することで一時的に爪の幅を狭くして炎症を抑え、爪が生えてくるまでに炎症が治まることを期待します。
- フェノール法(医療機関)
爪の端の食い込んでいる部分を切除したのち、爪が生えてこないように「フェノール」という薬剤で、爪のもとになる爪母の細胞を処理する方法です。
巻き爪の治し方について、治療、施術、セルフケアの選択
最近では、巻き爪の矯正治療が進んできていることもあり、重症な場合を除いて巻き爪治療ですぐに手術という選択は少なくなってきているようです。早めに医療機関で診てもらうようにしましょう。
また、巻き爪矯正の選択肢も多く、医療機関の治療や整骨院、巻き爪治療院、ネイルサロンの施術でなくても、自分で付け外しが出来る簡単な爪の矯正具も色々発売されています。
軽症の場合は市販の矯正具をうまく活用して、普段から自分で矯正をすることもオススメです。いずれにしても、巻き爪が重症化しないように、軽症の巻き爪の段階でケアを検討してみてはいかがでしょうか。
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